いやでも、流石に歓声が大きすぎる気が
する。



枚田君は確かに人気者だけど、この騒ぎ
は異常だ。



まるで、本物の王子様が現れたかのよう
な──……。



その時。



「──ああ、眠っているお姿も、なんと
麗しい」



聞こえてきた声は、枚田君のモノじゃな
く──もっと、身近な声だった。



枚田君のものよりも幾分か低く、周りを
一瞬にして惹き付けるような、凛とした
声。



だけど、彼がこんな所にいるはずがない




だって彼は、クラス所か、学年さえも違
うというのに──……。



──ちゅ……



そんなことを考えていると、唇の真横に
感じた、柔らかくて温かい感触。



それに惹き寄せられるように、私は瞼を
ゆっくりと持ち上げて──。