次の瞬間、その類の言葉に。 今までの戸惑いも焦りも吹き飛んで、代 わりに──。 「え……?」 もっともっと大きな、戸惑いが溢れた。 類の言葉を信じたくなかった。 俺がピアスをしていないなんて、そんな 馬鹿げた事、信じたくなかった。 だってあの、ピアスは──。 けれど、耳に触れた指先に、いつもそこ にあるはずの感触が、なくて。 俺は、愕然とした。 「……っ!」 「え、仁斗?」 類の声も無視して、俺はそこから走り出 した。 嘘だ。嘘だ。嘘だ。 俺があのピアスを忘れるなんて、絶対嘘 だ。