どっちかと言うと、HRの最中にボーッ
としてた私がいけないんだものね。
「……多分、それは私が聞いてなかった
だけなのかも知れないわ。……だけど、
主役なんて出来ない」
「で、でも推薦で決まったものだし……
」
「推薦って、誰の?」
こんなにクラスに溶け込んでいない私を
推薦するなんて、と少し驚きつつ、それ
は顔に出さないようにしてそう尋ねる。
主役なんて良い役、やりたい人、沢山い
たでしょうに。
「えと、男子のほとんどから……特に、
仁科君、が……」
「……」
春希め。余計なことをしてくれる。
はあ、とため息をつきながら、台本を佐
藤さんに返す。
「そう。でもごめんなさい。他を当たっ
てくれる?」
「で、でも──」


