「断ったなら、どうして?」
「……なに、怒ってるの?」
訝しげな姫の声に、類の笑顔が一瞬ひき
つる。
「まあ、いい気はしないよね。で、なん
で断ったのに、そんなことになってるの
?」
「えと……、断ったんだけど、「主役同
士、少しでも仲良くしておこうぜ」って
言われて……そっちの方が、いい劇が出
来るって言われて……」
「ふぅん?上手く丸め込まれたんだ?」
ちょっと刺々しいぞ、類。
すると雅が、姫の頭をゆっくりと撫でて
。
「麗。劇が終わったら、呼び捨てされな
いようにしろよ」
と、見てるこっちが胸焼けしそうなくら
い甘い目線で言った。
「うん。まあ劇が終わったら、どうせそ
んなに関わることもないわよ。彼、人気
者だし私に構ってる暇も無いだろうし」
心配無いわよ、と軽く笑った姫に、全員
がため息をついたのは言うまでもない。
本当にこの子は、自分の容姿をちゃんと
自覚してないんだから……。


