ガラリと。
なんの躊躇もなく、扉が開いた。
そしてそこから入ってきた彼女は、この
濁った空気に、顔をしかめて、首を傾げ
た。
「……なんか空気悪いわよ、ここ」
換気した方が良いんじゃない?と、何も
知らずに部屋に入ってきた、姫。
こんな空気の原因は、ほとんど姫にある
っていうのに。
姫が入ってきたとたん、にっこりと笑顔
になる類。類の気持ちを知った今じゃ、
ちょっと複雑だ。
「お帰り麗ちゃん。もういいの?」
「ええ。今日は大まかな流れの確認だけ
だったから」
そう説明しながら、雅の隣に座る姫。
最早そこが、姫の定位置になっていた。
お願いだから、ずっとそこに居ろよ。そ
こから動こうとなんかしなくていい。


