「お前なあ、人の片思いを嬉しそうにすんなよな」
「やー、女の子にあたふたしてる兄ちゃん可愛いなって」
「……」
可愛いって。そんなん男に使う言葉じゃねえだろ。
なんだか空がいやに余裕綽々な感じがして、気に食わない。──だから俺は、反撃してみることにした。
「そ、そういうお前はどうなんだよ!か、のじょ、とかいんのかよ!」
「居るけど?」
「ほら見ろお前だって──は!?」
反撃失敗。
え、てかなに。居んの?
「……居んの?」
「だからそう言ってるじゃん。同じクラスの女の子だよ」
「ま、まだ早いだろ!」
高校生にもなってないのに男女交際なんて!と慌てると、空は可笑しそうにクスクス笑って「兄ちゃんってば俺のお母さんじゃないんだから」と言った。
なんてこった。まさか弟に先を越されてたなんて。
……いやでもまあ、空は性格もいいし、頭もいいし、顔もいいと思うし……モテる要素しか、ないけど。
むしろ彼女が居ない方が、変だけど。
「兄ちゃんだってカッコイイよ」
「はあ!?いきなりなんだよ!」
「いや、全部ダダ漏れでつぶやいてたよ」
兄ちゃんて隠し事出来なさそうだよね、と笑われる。バカにされてる気しかしない。


