結局口から出たのは、相も変わらず素っ気ないトーンの言葉。
類とかならきっとここで、本当は俺が一緒に帰りたかったくらいの台詞を軽く言うんだろうけど、俺にはとてもじゃないけど無理だ。
……こんなんだから、麗にちっとも俺の気持ちを気付いてもらえないんだろうな。麗の鈍感さにはさすがに驚かされるけど、でも麗だけが悪いんじゃないことはわかってる。
俺が全然素直じゃないから、だからきっと伝わらねえんだ。
じゃあまた明日ね、と類と共に去っていく麗を、苦々しい気持ちで見つめる。
……ああくそ、焦る。
そろそろこの平行状態から、抜け出したい。
「兄ちゃん最近彼女とはどうなの?」
「……ぶほっ!?」
その夜、あまりにも唐突すぎる空の言葉に思わず咳き込むと、大丈夫?と空が俺の背中を優しく叩いてきた。
いやいや、お前のせいだけどな。
空の唐突な発言のせいで、珍しく早めに帰宅した親父も箸を止めて目を真ん丸にしながら俺を見た。
「お前、彼女居たのか」
「居ねえよ!」


