行きたいところ、というか、大事な話があるってだけなんだけど。
でも誘った手前、どこに行くかくらい決めておくのが普通だ。それくらい、わかってる。──けど。
「麗ちゃんのせいだよ」
「え、いきなり何?」
麗ちゃんの事考えてたら、もう緊張して何も考えられなくなって。
恋に囚われて夜も眠れないなんて、キャラじゃないことなんてわかってるけど。
……麗ちゃんと関わってると、俺の知らない俺が出てくるから少し、恥ずかしい。
「ゆっくり話せられればどこでもいいんだけど……」
「滅多に外なんか出歩かないから、どんなお店があるかとかわからないわよ、私」
どっかの誰かさんたちが過保護だから、とじろりと睨まれる。
「仕方ないでしょ、なんたって麗ちゃんは、俺たちのお姫様だからね」
そう言うと、その呼ばれ方むずがゆいのよ。と麗ちゃんが眉間にしわを寄せた。
だけど過保護になってしまうのはもう仕方が無いと諦めて欲しい。


