俺の足も心も、早く早くと、もう麗ちゃんの元に向かってる。
麗ちゃんの教室までのほんの数分が我慢できないなんて俺も子供だ。
「そう。今日は麗ちゃんとデートだから」
「……随分オープンになってきたねえ」
ははは、と苦笑いする仁斗は、「ライバルが多くて嫌になるね、ほんと」とため息をついた。
そんなの、俺もだよ。
手強いライバルだらけで、嫌になるよ。
「だから、邪魔しないでね?」
にっこりと釘を刺すと、わかってるって、と仁斗が言う。
ちゃんと言っておかないと、悠辺りを巻き込んでつけてきそうだからね。
「じゃあ雅、麗ちゃん借りていくね」
自分の好きな子が別の男と──しかも行為を寄せてる男と出掛けるっていうのに顔色一つ変えない雅に、微笑んでから資料室を出る。
俺だったら、どんな手を使ってでも阻止するけど。


