でも全部、春希のせいなんだから。
「春希が、勝手に私を、眠り姫の主役に
推薦したのよ」
刺々しくそう言うと、ビクッと肩を震わ
せる春希。
「麗のクラスは演劇やんのか?」
そう訊いてきた悠に、「そうよ」と頷く
。
春希は、仁斗の腕に突っ伏していた顔を
そろりと上げて、チラッと私を見た。
「す、推薦したのは俺だけじゃないもん
……俺だけ怒るなんて、フェアじゃない
よ」
「でも一番強く推薦したのは、あなただ
って佐藤さんに聞いたけど?」
「だって麗ちゃん綺麗だし美人だし……
お姫様役にぴったりだって思ったんだも
ん……」
うう、と唸る春希。
……さすがに責めすぎたかしら。春希も
、よかれと思って推薦してくれたんだろ
うけど。
「……私が喜ぶと思ったの?」


