溺愛プリンセス~最強Boysに愛されて~2




「去年の春に来てたさ、高梨遥って人覚えてるか?」



覚えてるも何も、この半年、忘れようとしても忘れられなかった名前。


未だに名前を聞くだけで、胸が鈍く痛むその名前。


「……実習生だろ?」


敢えて素っ気なく答えれば、そうそう、と返事が返ってきた。


「それがこの前、俺がばあちゃんの見舞いに行った時に病院で会ったんだけどさあ」


──なんかもう、長くないらしいよ。





頭が真っ白になる、というのはこういう事かと、どこかで冷静な自分もいた。


ただ、気がついた時にはもう、無機質な白いドアの前にいて。


ドア横のプレートには「高梨遥」と確かにその文字が刻まれていた。