進路だとか体裁だとか気にするような男だったら、あの時実習生だったあんたに手なんか出すわけ無いだろ。
保身の為に生きてたら、あんたと二人きりになんかなるわけなかっただろ。
「仁斗……お願いだから、私の気持ちもわかってよ」
「だったら俺の気持ちもわかれ!」
心の底から、一生大事にしてくって誓った女に、こうもあっさり別れ話を切り出された俺の気持ちがわかるかよ。
「……仁斗」
なんで。なんでなんだよ。
なんでそんな平然としてられんだよ?なんでそんな、真っ直ぐな目で俺を見るの。
──ああ、そうか。もう決まったことなんだな。
俺の意見なんて最初から求めてなくて、先生の中ではもう、俺達は終わったことになってるのか。
そう思ったら、どうしようもないやるせなさで埋め尽くされて。
「……体裁だとかそんなの、いい訳だろ?」
逆に頭が冷えた。


