「……汚れてるよ」 鉛筆の芯色に染まったわたしの右手を見て、再び頬に視線を戻す。 デッサンの最中に汚れてしまった手で顔を触ったから、頬まで黒くなってしまったらしい。 「あ、えへへ」 照れ笑いをすると、うじ君はわたしから手を離して薄めの眉を下げた。 「なんなんだよ……もう」 困っているような顔で、 それでもその表情からは、突き放すような冷たさが消えているように思えた。