「覚悟しろ志摩。今日こそ熱い抱擁をかましてやるぜ」 言いながら、鳥の求愛ダンスよろしく両腕を広げ、じりじりと間合いを詰めてくる。 「ええい、近寄るな。こいつがどうなってもいいのか!」 わたしは持っていた3Bの鉛筆をアキちゃんの喉元にあてがった。 「いやあ! 何するのよ!」 「そんなヤツどうでもいい!」 信号機から力強い答えが返ってきたその瞬間、 出入り口のドアが勢いよくスライドされた。