放課後のアトリエでは、 アキちゃんと信号機がいつものようにデッサン用の木炭紙と対峙していて、 わたしは一人、オペラグラスの世界に浸っていた。 「今日は景色、か」 丸い視界の中、 拡大して見えるスケッチブックの中には、 屋上の柵やそこから見える家々の屋根が描き出されていく。 彼が色鉛筆で描き出す作品は、私のデッサンなんか足元にも及ばないくらい、 緻密で柔らかで情熱がこもっていた。 あんな世界を描ける人が、絵を嫌いなわけがない。