スケッチブックに描き出されていた世界は、 絵が好きで好きでたまらないと、 心の中で叫んでいるような作品ばかりだったのに。 「なんであんな嘘をつくんだろう」 ニョッキリをかじりながら窓の外にオペラグラスを向ける。 今日も向こう側の校舎、 普通科A棟の屋上ではベンチに腰掛けてスケッチブックを広げている結城くんの姿がある。 その傍らにはオレンジソーダの缶が置いてあった。 わたしが、毎日覗いてる、いつもと変わらない屋上の風景。