わたしの言葉に、彼は少し苛立った様子だった。 それまでの穏やかさが嘘のように、険しい表情になる。 「嘘じゃないよ。何も知らないくせに適当なこと言わないでくれない?」 「適当じゃないよ! うじ君は嘘をついてる! わたしは知ってるんだ。これは何でも見通せるんだから!」 わたしは首から提げていたオペラグラスを掲げた。 それは風にゆらめく木漏れ日を反射して、水面のようにきらきら光る。