すっきりとした横顔から目を逸らし、わたしは胸にさがっているオペラグラスを撫でた。 「わたしはうじ君がいいんだもの。インタロゲーションが湧いちゃったから」 「……インスピレーションのこと?」 「そう、それ! そっち!」 普段だったら気にしない言い間違いがやけに恥ずかしくて焦っていると、結城君ははじめて笑顔を見せた。 目元が優しげに緩む穏やかな笑みだ。 心の奥がふわふわ浮いてしまうような、わたぐもみたいな微笑。 それを見てると、ますます気持ちが逸る。