惚れているかどうかってのはよく分からないな。

そう思っていると、信号機がもの凄い形相でアキちゃんを押しのけ、わたしの正面に立った。



「おい志摩、正気か」
 


焦ったようなシンゴの後ろで、アキちゃんが楽しそうに呟く。



「まあ、人は自分には無いものに惹かれるからねぇ。目立つ志摩が目立たない彼に惹かれるのも道理なのかしら」

「ふざけるな! 俺は認めない」 
 


真正面で声を荒げる信号機を無視し、わたしは短く折れたニョッキリをパキリとかじった。



「恋……なのかな?」
 


自分でもよく分からなかった。