「ぎ、ぎゃああアキちゃん!」 「アキ! なにやってんだよ!」 わたしと信号機が慌てて彼女を取り押さえる。 ここは6階だ。 落ちたらひとたまりもない。 「死んでやる! 死んでやるわぁぁ! 貧乳なんて地面にめり込ませてやるわよぉぉぉ」 アキちゃんは乳に対してひどくネガティブな人だった。 「大丈夫だアキ! 俺よりはある!」 何が大丈夫なのかさっぱり分からない信号機の誤った慰めに、彼女は当然ながら激昂する。