みんなからユウレイと呼ばれる彼、

結城礼次郎くんは、

勉強のできないデザイン科のわたしたちと違い、とても優秀な人らしい。


ただその存在感の薄さから知名度は低く、

わたしが彼にモデルを頼むまでは、誰も気に留めたことがなかったそうだ。



「いた!」
 


今日の目撃情報があった購買は、A棟とR棟をつなぐ廊下の真ん中にある。



そこにいた彼――

全体的に色素が薄いというか、とにかく背景に馴染んでしまいそうなほど存在感のない結城くんは、


わたしの顔を見た途端、怯えたように後ずさりをした。