「……は?」 直球なお願いに当然のごとく眉をひそめる彼に、わたしは慌てて説明を始める。 「あの、デッサンしてるんです。モチーフがまだで、その、あなたにお願いしたいんですけど」 緊張のせいかたどたどしい言葉しか出てこない。 彼は怪訝そうにわたしを見下ろしたままだ。 と、 「俺は認めない」 不意に傍らから信号機の声が降った。