「あのね、目立たない、地味っていうのは、つまり何色にも染まることができる素晴らしい素材ってことなんだ。彼は岩石! ダイヤの岩石だよ!」 「それを言うなら溶岩だろ」 「いや、水晶よ」 アホな2人を置いてわたしは廊下を駆け出す。 「おい、志摩」 「彼にモデルを頼んでくる!」 角を曲がる前方の背中めがけて全速力だ。