「人の頭が見えたにしても、よくわたしだって分かったね。うじ君目がいいの?」 「目は悪いよ。けど、分かるに決まってるじゃないか」 「なぜ?」 「金の髪とオペラグラス。遠くても、それくらい分かるし、学校内でそんな奇抜な格好してるの君しかいないだろ」 あ、笑った。 久しぶりに見る、うじ君のほころんだ顔だ。 さあっと風が吹いて花壇の名も知らぬ花が揺れると、 うじ君は真顔に戻ってわたしを見下ろした。