変な感じだな、と思ったとき、彼の表情が寂しげに曇った。 「……ごめん、俺、絵が嫌いなフリをしてた」 そう言って視線を下げる。 その先には描きかけのスケッチブックがあった。 「絵は昔から好きで、いつも描いてたんだけど、高校に上がってから勉強の妨げになるからって、禁止されたんだ。俺の親、うるさくて」 その言葉で頭に甦るのは、 うじ君が普通科の中でも勉強のできる優秀な生徒なのだという、いつか聞いた情報だった。