ぶわっと揺れる風にわたしの金髪が舞った。 目の前には、いつもオペラグラスで覗いていた世界が広がっていた。 視覚だけで感じていた世界を、五感すべてで感じる。 遠くから見ていた花壇は目前にすると結構大きいし、なにより土と花の匂いが鼻孔をくすぐる。 「岩本さん」 呼びかけられ振り返ると、ベンチの前にうじ君が佇んでいた。 その傍らにスケッチブックとオレンジソーダの缶が置いてある。 「あっと……」