うじ君。 うじ君。 見るだけでいいと決めたのは自分なのに、胸が苦しくなる。 前まではこんな気持ちにならなかった。 彼と話をする前までは。 ふと視界がぼやけて、わたしはオペラグラスを離した。 レンズが曇ったのだと思ったけれど、レンズを通さなくても視界は滲んだままだった。 頬を伝い落ちる雫を慌てて拭う。