彼と話をしなくなって、また一方的に眺めるだけの放課後に戻った。 うじ君は毎日、あそこに座って、放課後の時間をスケッチに費やしている。 彼と近づけたことは嬉しかったけれど、ここで眺めている方がずっと楽だ。 喋りすぎて後悔したり、 無理に笑いを取ろうとしたり、 些細なことにやきもきしなくて済むのだから。 「今日は何が見えるのよ」 アキちゃんが溜息混じりに問うのも従来どおりだ。 わたしが覗いている世界を、彼女はずっと知らない。