不思議と桜彩と別れる決心はつかないのに、俳優辞める決心の方がついてる。
人を好きになるって不思議だな……。
緊張気味に社長室のドアをノックして、ガチャっと勢いよくドアを開けた。
「あら、待ってたわよ~凛!」
「社長……って、えっ?さ、桜彩!?」
「お、お疲れ~凛」
社長と桜彩が揃ってる……。
でも、とても別れ話される雰囲気じゃないような……。
「今日は凛に話があるのよ。もう、桜彩には話済みなんだけどねっ♪」
「はい……。なんでしょう?」
「もーそんな暗い顔しないでちょうだい!ふふっ……桜彩のこと頼んでいいかしら?」
「それって……。俺が桜彩の側にいていいってことですか!」
社長は大きく頷いて笑った。
桜彩も照れくさそうにニコニコ笑ってる。
俺………正真正銘に桜彩とカップルじゃん!!
「桜彩~!!」
「うっ……り、凛……苦しい!」
ぎゅっと抱きつく。
今の俺からの精一杯の愛情表現。

