苦笑気味にママはコーヒーを一口飲んで話し出した。
「桜彩……桜彩にはパパがいないでしょ?理由は話したことあったわよね?」
「……うん。あたしがお腹にいる間に別れたんでしょ?」
「そうよ。お互い若すぎて、仕事も急がしすぎたの……」
あたしのパパは、基本的に映画をメインに活動してる俳優。
ちなみにママの2つ歳上で36歳。
ママが女優として売れ出してた18歳の時に、俗に言うデキ婚。
けど、すぐに別れたからパパとの記憶は一切ないし直接会ったこともない。
「ママね、あの人のこと大好きだった。でも世間が許してくれなかったし……。まっ、今思えば別れてよかったと思ってるわ♪」
「どうして……そんなに明るくいられるの?好きだったんでしょ?」
「でもあの人責任感ないし~。桜彩と二人の方がよっぽど楽しいわ♪」
ふふっと笑う姿は女優と納得するほどキレイ。
あたしも………いつかはママみたいに美人なお母さんになれるのかな?
「そうね~……桜彩に同じ思いさせたくなかったの。ツラくて大変な思い」
「大丈夫だよ、あたしは」
「うん。凛なら大丈夫そうね」
微笑むけど、その裏ではどこか心配そう……。

