ワックスで軽くパーマのかかった茶髪を整えて、デビュー当初から付けてるピアスを左耳に付ける。
どこで誰に見られてるか分かんないから、モデルとしてそれなりのオシャレ。
………社長に頼んでクローゼット置かせてもらお。
「……桜彩!撮影行ってくるから~!ちゃんと学校行けよ!」
「誰のせいで遅刻したと思ってるの!?もう行かないし!早く行って……」
「はははっ……わ、分かったから…。竹刀振り回さないでな?」
桜彩を敵に回したら、俳優できなくなりそうだな…。
とりあえず、竹刀で叩かれること間違いなし!
社長は優しいんだけどな~。
「あ……ね、ねぇ!」
「ん?」
「鍵持ってるの?」
「あ……そいえば社長に合鍵作ってもらってねぇわ!」
呆れた顔で桜彩は部屋に戻り、ピンクのキーケースを俺に渡す。
「帰り遅いなら必要でしょ?いいよ、今日だけ貸してあげる」
前言撤回。
優しい女の子だった。

