駅からタクシーを拾って、自然と身体が向かっていたのは凛のマンション。
いるのかも分からない。
ただ……会いに来ちゃっただけ……。
ケータイで連絡しても出てくれないってことは絶対に仕事中。
「待ってるから……いい」
制服で出て来たからさすがに寒い。
冷たい冬の風があたしの気持ちまでをさらって行ってしまいそう。
マンションの下でどれくらい待っただろう?
顔を上げれば辺りは真っ暗。
そんな時、マンションに着く黒の大きな車。
「じゃっ!西浦さん!また明日!」
明るく弾んだ声。
車から出て来たのは、相変わらずオシャレな服で身を固めた凛。
「え……さ、桜彩?」
「凛……凛!」
「はっ!?お、お、おお落ち着けって!どうしたー?」
泣いて凛に抱きついた。
高そうな香水の匂いがふわりと鼻を掠める。
素直に会いたかったとか言うのは、あたしらしくないけど………
今だけは言わせて?
「側にいてほしくて会いに来た……」

