ひらっと表にした写真を覗き込めば、あたしは小さく息を飲む。


これはなに?


どうしてママがこんなこと……


「桜彩。どうして凛のマンションに二人で入って行くの?」

「そっ、それは……凛に用事があって」

「それなら事務所で会ってもいいじゃない。……交際してるのね?」


初めて見るママの鋭い眼差し。


あたしは何も悪いことしてないのに………。


「今すぐ別れてちょうだい。凛は俳優、桜彩は一般人なの。分かってくれるでしょう?」

「どうしてダメなの?いいじゃん……凛の仕事に支障ないようにしてる!」

「でも……凛はこれからもっと有名になる。ツライ恋をしてほしくないだけなの」

「なによ、それ……。自分勝手すぎる!」



そんなの良い言い訳だよ。


ママにとってはビジネスで凛が必要だから、あたしの存在が邪魔なんだ……。


これでまた週刊誌に出るんじゃないか……とか、そんな心配しかしてないはず。



あたしはマンションを出てた。


走って走って……気付いたらマンションからずっと離れた駅まで来てた。