「はぁー……あたしも芸能人になりたかったなぁ~」
「杏花梨、あたしは芸能人じゃないからね」
授業の合間の休み時間。
あたしと杏花梨は教室の窓の外の紅く染まりだした木々を見ながら、凛の話。
唯一、あたしと凛の関係を知ってるのが最も信頼してる杏花梨だけ。
「あの俳優の凛くんが近くにいるなんて………キャー!!考えただけでヤバイ!キャー!」
「お、落ち着いて!案外普通の男子高校生だから!」
「でもオーラが違うんだろうなぁ~!会いたい……」
「あ……そいえば多分無理だと思うけど、文化祭来たいとか言ってたよ?」
隣で騒いでた杏花梨が急に静かになって、あたしの顔をジッと見る。
そして、あたしの両手をぎゅっと握って大きな瞳で見詰められた。
「凛くんのこと……紹介して!お願い!世間的に秘密にする!」
「もし来たらね……」
改めて凛の人気ぶりを自覚する。
そんな人気者の彼女なんてまだ夢みたい。

