やっと全ての仕事が片付いたのは、もう夜の8時。
明日の撮影に備えてそろそろ寝たいところ。
車中で西浦さんのケータイが鳴り響いた。
また仕事か……。
「西浦でーす。………女の子?高校生の?……ええっ!椿社長の?………分かった、今行く」
女の子、高校生、社長………
疲れきった俺の心に期待がそっとうまれる。
「凛。椿社長の娘さんが事務所来てるってよ。何だか忘れ物を届けたい、とかで」
「桜彩だ……。西浦さん!アクセル全開!」
「いやいや!俺免停くらうのヤダよ!」
桜彩に会えるのは嬉しいけど………
俺なんか忘れ物したっけ?
考えても思い付かない。
事務所に着くと俺は急いで受け付けで桜彩のことを聞く。
「第二応接室にてお待ちですよ」
エレベーターの鏡で軽く髪を整えて、桜彩に会う準備。
どんな理由であれと会えるのはすっげー嬉しいから。

