次の日の朝。
意味もなくずっと泣いてたあたしの目は、痛々しく赤く腫れてる。
「ファンデーションで隠せるかな……」
化粧ポーチを持って広々とした洗面所に行くと、ママの化粧道具がズラーッと並んでる。
歯を磨き、顔を洗ってファンデーションを塗ろうとした時………。
カシャン───
「落としちゃった……何してんだろうね…」
しゃがんで取ろうとすると、洗面台の下でキラッと光るモノ。
手を伸ばして見てみると……
「ピアス?ママの…じゃないかな」
シルバーのシンプルなピアス。
もしかして……凛くんの?
あたしはピアスを握りしめた。
これはきっともう一度会うチャンスだ……。
自分に素直になれってことだよね?
こんなことってほんとにあるんだ……。
奇跡は洗面台に転がってたみたい。

