手を引っ張られてキッチンに立たされる。
あたしに朝ごはんを作れと……?
リビングの時計を見ればもう完全に遅刻決定。
「……作りますよ。作ればいんでしょ?」
「そーゆうこと♪物分かりいい子は好きだよ、俺」
「あっち行って!邪魔!」
「もっと女の子らしい態度取れよ~」
笑ったコイツはあたしを惑わす悪魔だ。
一応、新名凛くんもあたしと同じ高校1年生。
だけど、クラスメートにはない風格を持ちそれに加えて大人っぽい。
明るめの茶髪に染めた髪は緩くパーマをかけててオシャレだし、何よりモデルだけあってスタイル抜群。
俳優やモデルになるために生まれてきたような顔立ちだもん。
あ、ヤバイ……卵焦げちゃう!
ささっと作った朝ごはんは、あたしよりも量多めにしてみた。
男の子だから、たくさん食べるでしょ?
「えー!すごいじゃん!自炊できるんだ!」
「ママいない時多いから。これくらいできないと」
「いただきまーす♪」
……話聞きなさいよ!

