静かにマンションの鍵を開けて部屋に入る。


時間はちょうど7時半。


土曜日だから、まだ桜彩は起きてないかな……。


リビングのソファーに倒れ込むと、遠慮がちな小さな足音が近付いて来た。


「おかえりー……あ……寝てた?ごめんね……あたし起こしちゃった?」

「いや……大丈夫。ただいま、桜彩」


グレーの大きめのスエットにボサボサの髪で、完全寝起きの桜彩。


こんなOFFな桜彩見たことないな……。


「なっ、何…?ジッと見て……」

「何でもない。かわいいなぁって思って」

「冗談やめてよっ!バカ!」



積み重なるこの気持ちのやりどころは?


近くにいるのに近付いちゃいけない。


女の子なんてすぐ俺のモノになったのに、こんなに悩んでる自分が馬鹿馬鹿しい。


「今……朝ごはん作るねっ?」

「……いらない」

「え?すぐ仕事?」

「朝ごはんよりほしいのあるから」


桜彩の細い手首を引っ張って、俺の胸に倒れると指で軽く顔を上げさせた。


そして、桜彩のピンクの唇に……


俺は噛み付くようなキスをした。


溢れる思いがとまらない。