「また週刊誌に撮られるぞ~」
「すいません……西浦さん…」
ケラケラ笑ってる西浦さんは、その他は特に何も聞いてこない。
仕事の話ばっか。
気使ってくれる西浦さんは優しい。
「今日このあと9時から仕事入ってるけど……真っ直ぐ行く?」
「いや……家に帰る時間あります?」
「全然あるけど。じゃ、マンション行くな」
「……はい。すいません…」
見覚えのある窓の景色になっていく。
その景色を見ながら嫌でも思い出す昨夜の出来事。
通じもしない、叶いもしないアイツに対して何本気になってんだろ………。
俺……どうしたらいい?
「凛。着くぞ。……そんな暗い顔で仕事場行ったら社長に苦情行くからな~」
「ははっ……それは困ります。……大丈夫です。仕事行くまでには疲れ取れてますから!」
「疲れか何か知らねぇけど……もう一踏ん張り頑張れよ」
「……ありがとう、西浦さん」
俺頑張るわ……。
別れてスッキリしたはずの気持ちは霞んだままだった。