この少しの沈黙にすら嫌気が差す。
あゆみが俺と別れたくない理由………
そんなの簡単に想像つく。
人気俳優とまで上り詰めた俺と付き合ってれば必然的に、あゆみの知名度が上がる。
要は、自分の出世のために俺を利用するっこと。
あゆみはニヤリと笑い、俺の首に抱きつき耳元で囁いた。
「考えてあげてもいいよ?……その代わり…条件付きでっ」
ほら……やっぱりそうだ。
条件付きの別れ。
「その条件は?」
「最後にあたしのこと抱いて?そしたら考えてあげる♪」
「そのこと週刊誌に売るつもり、ってとこ?」
「そっ、そんな考えしてないわよ~。は、早く~」
図星。
俺に抱かせといてあとから、俺を悪者にして土台にする。
そんな単純な考え分かるっつーの!
早く家に帰りたい……
何より、叶わないって分かってるのに……
桜彩に会いたい。

