【凛side】
珍しく夕方に一日分の仕事が終わった。
マネージャー西浦さんの車でマンションに帰ると、涼しいリビングで勉強中の桜彩。
自然とこの前抱きしめた時の感触を思い出す……。
「ん……あっ!おかえり。びっくりした」
「あ、ははっ……わりぃ。勉強中?」
「そう。夏休みの宿題。英語のレポート分からない……」
チラッと覗けば、びっしりと英文が書かれた問題用紙。
もちろん、俺は一つも分からない。
デビューした時から“学業<仕事”できたから、俺の勉強は中学で止まってる。
一応、事務所近くの定時制に理音と通ってるけど入学式と授業1回しか出たことない。
「高校って楽しい?」
「うん!勉強と体育以外は楽しい!凛くんは?」
「仕事優先だから学校の楽しさ知らねぇの」
「そっか……」と困った顔をする。
桜彩から学校の話聞ければ、お前が楽しそうにしてたらそれで満足。

