慎弥くんは呆れたように鼻で笑った。
そして捨てるように言葉を置くの。
「遊びだしいーわ。別に。顔良いから遊んでやろうと思ったのによ」
……散々、人のこと振り回しといてこの有り様。
バシンッ───!!!
閑静な住宅街に響く乾いた音。
あたしは慎弥くん……いや、この女たらしヤローにビンタ張った。
怯えた顔で逃げてく後ろ姿ほど、情けない光景はない。
「はぁー……。マジで最悪……どーせあたしは遊び止まりの女ですよ~だっ!」
自暴自棄になるあたしとは逆に、振り返れば凛くんは真面目な顔。
「お前さ……もうちょい自信持って男で遊ぶぐらいの女になれ」
「あたしが?無理だよ。だって、かわいくないもん」
「まぁ、確かにあの強烈ビンタはちょっとな……アイツ顔腫れるぜ!自業自得!」
サングラスをくいっと上げて、ズルく笑った凛くん。
その笑顔に胸が締め付けられるほど苦しくなって……
「助けてくれてありがと!」
それだけ言って、逃げてしまった。
何なのこの気持ち。

