結局、あたしの後ろを着いて来て一人でずっとしゃべってる。


うざいな……もう。


杏花梨の言う通りにしとけばよかった……。


「ええっ!桜彩……こんな高級マンションに住んでんの!?父親社長!?」

「生憎、ウチに父親はいません」

「母さんすっげーな……。ねぇ、やっぱり君のこと逃せないわ。行こう?」

「ちょっ……ヤダ!離して!」


こんな閑静な場所だから人通りは少なくて、夏だけど冷房のおかげで窓は閉めきってる。


これじゃあ……誰も気付いてくれない…!


せめて竹刀があれば…!



「あれ~?桜彩じゃん。こんなとこで何してんの?」

「あ……り、凛くん……!」

「なんだ。桜彩の知り合い?」

「え、あ、うん」


サングラスして登場したのは凛くん。


仕事終わったんだ……。


サングラスのおかげで正体は気付かれてないみたい。