【凛side】



珍しく朝からバタバタと忙しい椿家。


制服姿で部屋を走り回る桜彩と、パンツスーツをバシッと着こなしてる社長。


マンションの部屋から見える公園の木々は桜の花が咲き乱れてる。


3月の今日は桜彩の卒業式。



「凛ー!今何時ー?」

「8時ちょっきり!桜彩と社長、そろそろ家出た方がいいかも……」

「ママ~!早くしてよぉ~!」

「待ってよー!あと少しでお化粧終わるからっ♪」


俺と桜彩と社長はマンションの駐車場に行き、車に乗る。


もちろん、この車は俺ので俺運転♪


前よりかなり上達してるし!


桜彩と社長を高校まで送るのが、仕事休みの俺の仕事。



「ありがとうね~凛!あとで事務所までお願いねっ!」

「任せて下さい!あ、桜彩も送るからな」

「うん!ありがとう!………行って来るね」

「……なんでもう泣きそうになってんだよ~!」

「だって~………」


助手席に座る桜彩の涙を指で拭う。


昨日から卒業式の話題になればこの調子。


「かわいい顔台無し。ほら!行って来い!」

「行って来る!」


社長の隣を歩く桜彩はすっかり大人な女の子。


俺も大人になってるかな?