カッコ悪い気持ちを抱えつつ、俺は少し冷たい桜彩の手を握った。
ちょっとからぶった感ある……。
「いいよね、こうゆうのも!」
「車で家に帰るのが理想なんだけど……。車買うからちょっと待ってて」
「あたしは好きだよ~。高校生のカップルらしいじゃん」
笑顔で俺と繋いだ手を大きく振って歩く。
こんなことで喜んでくれるのって、なんか嬉しかったり。
「そうだな。たまには悪くないかも」
「でしょ?」
寒空の下、歩いて帰る俺はこの当たり前の日常がすっごい好きで………
海外行ってた分の寂しさを少しずつ埋めていく。
何気ないこんな時間を大切にしたいって改めて思った。
「あれ…?凛……これ雪じゃない!?雪だよ!」
「あ……ほんとだ!今年降るの早くね?」
「いいじゃん!初雪二人で見れるって幸せだねっ。歩きでよかった」
「ちょっと寒いけどな」
さっきよりも強く手を握って、ちらほら降る雪の中を歩いた。
寒いけど繋いでる右手が暖かい。

