あたしの腰に手を回して、腰周辺を執拗に撫で回す。


最悪なんだけど……どうしよ。


触れられて嬉しいと思わない。


「ごめんなさい……。あたしこのあと用事あって……そろそろ帰らないと親に怒られるから」

「マジで~?いいじゃんかー。ヤダ?俺のこと?」

「えっ……そ、そんなんじゃ…」

「じゃあいいじゃん!側にいてよ!」

「……彼氏いるから…ごめん!」


しつこさにイライラしているのと、初めて男に接近された恐怖感……


あたしは走ってカラオケを出た。


そのまま走って、走って、走ってマンションまで帰る。


エレベーターの中にいるのにドキドキして焦ってるあたし。


でも、このドキドキは幸せに感じない……。


恐怖、焦り、不安のドキドキ。


家のドアを開けるとシーンと静まり返る室内。



こんな時に限って誰もいない………。


部屋のベッドに倒れ込み、込み上げてくる寂しさをぐっと堪えた。


ママもいない、凛くんもいない………


一人ぼっち。


小さい時からずっと……寂しい時に限って隣に誰もいない。


自分だけ可哀想とか思ってバカみたい!


明るく笑ってれば何とかなる!


なんとか………。