帰って来たばっかなのに、凛はすぐに次の仕事の打ち合わせ。
西浦さんも真っ直ぐ帰り、凛とあたしはママにマンションまで送ってもらった。
「ありがとうございました、社長」
「いーえ!ごめんね~。桜彩泣き虫だから、そのお詫びっ♪」
「ちょっとママ!」
二人してあたしをバカにして笑うんだから~………。
マンションのエントランスに入った瞬間、カバンを持ってない凛の右手があたしの左手をそっと取った。
凛の手温もりも久しぶり……。
「相変わらず手、ちっさい」
「そんなことないもん……」
「何いじけてんのー?ほら、家帰ろ!」
「うん!」
凛に手を引っ張られて乗ったエレベーター。
そう、そのエレベーターに乗り込んですぐだった。
あたしの頬に凛の左手が触れて唇がそっと重なる甘いキス。
寂しかった心をじっくり溶かしていく様に、優しく深く………。
エレベーターが止まると、凛の唇が離れて優しく笑う。
「続きはあとでねっ」
凛はすぐあたしをドキドキさせるんだから。

