あたしは不安になって、うっすら冷や汗が出るのが分かった。
たった数秒の沈黙がドキドキしてたまらない……。
「次の映画で凛を出演させたいんだ。学園物で青春をイメージしてる。これには彼が必要なんだ」
「進。貴方はなんで、わざわざ凛を?」
「まず日本で有名なのが前提だ。そして彼は必ず成功する。……だから、頼む!」
凛は海外に行っちゃうの?
あたしの側にいられない遠い所に行かせるの?
「……分かった。本人にも交渉してみるわ。もちろん貴方もね?」
「あぁ。もちろんだ」
待ってよ。
お父さんは父親らしいことしないで、ママとあたしを残したくせに………
そんなくせに、あたしの大切な人を連れて行くわけ?
離ればなれは嫌……。
「じゃあ、話も済んだし帰るよ。……またな、桜彩ちゃん」
「待って……凛は……」
「ん?」
もう何も言えなかった。