特に話すこともなく刻一刻と理音と離れる時間が近付く。


そして、理音が乗る飛行機のアナウンスが空港に流れた。


「……じゃ!そろそろ行こっかなぁ~!アメリカ!」

「強調するの嫌味かっ!」

「違うって!まぁ、次会う時はアレだ。凛は日本一有名な俳優で俺はアメリカ一有名な日本人モデル!」

「言ったな?やるなら絶対一番になれよ」

「当たり前だし!」


デカイキャリーを引っ張って歩き出す後ろ姿は珍しく大人っぽい。


頑張れ……理音。


その時、ピタッと足が止まって振り向く。


伝え忘れでもあんの?



「小春のこと……よろしく頼んだ。あ、なんかあったら俺を頼ってって言っといて!」

「分かった。それだけでいいの?」

「あとはー………いや、やっぱいいわ。頼んだぞ~!」


大きく手を振る理音に俺も振り返した。


あんなにバカな理音だったけど……


いないとなると寂しいもんだな……。


でも、理音なら必ず成功する。


だったら俺も負けないで頑張るだけだ。