撮影の休憩中、忙しく働くスタッフ達。
俺と小春は二人で隅っこに座った。
話すことは一つだけ……。
「小春。……理音がアメリカ行くこと知ってんの?」
「……うん、まぁ」
「本人から直接聞かされた感じ?」
「ううん。事務所のスタッフ達が話してる内容から知った」
「そっか……」
下を向いているせいか小春の表情は見えない。
ただ、声のトーンからして喜んでないのは確か。
小春は理音のこと好きだな……きっと。
両思いなのに、なんでこんな風にスレ違うかな……。
「……勝手にすればいいじゃない?何しようと理音の自由でしょ」
「ふーん。ほんとにそう思ってる?それが小春の本心?」
「凛ってそんなに疑り深かったの?……あたしは本心しか言わないわ」
「あっそ…」
機嫌損ねさせた……。
俺、ちょっと言い過ぎだった?
でも、小春の涙ぐんだあの表情だけは忘れなかった。